近隣対応事例紹介

今まで実施してきた近隣対応の具体例を載せさせて頂きます。

一生日影という誤解
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~近隣対策・近隣対応上必要な情報を記載いたします~

   近隣住民側がよく使う言葉に、「一生日影」というのがあります。日照阻害の補償要求の際に、よく使われる言葉です。しかし、これには大きな誤解があります。

 第一に、毎日毎日三時間の日影が続くわけではありません。一日三時間の日影といっても、それは冬至の日の話です。 日影の時間というのは、太陽の高さの変化によって長短します。そして、この太陽の高さの変化というのは、われわれが漠然と考えている以上に大きいものです。そのため、冬至の日に三時間の日影を受けても、その後の毎日の高さの変化によって日照阻害の程度は意外なほど早く減少していきます。
 一日三時間またはそれに近い日照阻害というのは、冬至の日を中心にして、せいぜい前後の四週間ないし五週間であり、それ以外の期間はきわめて小さいか、まったくない場合もあります。「一日三時間の日照阻害」というのを前提にして交渉していると、これが独り歩きを始めて、あたかも建物完成後は春、夏、秋も含めて一年中、毎日毎日一日三時間の日影であるかのような錯覚に陥って、補償額を考えてしまう場合が往々にしてあります。

 第二に、それでは冬至の日を中心にした四~五週間の間は、毎日毎日、一日三時間、またはそれに近い日影が続くのかというと、それも間違いです。日照阻害というのは、建物によって太陽の光をさえぎることです。したがって、太陽が出ていることが前提条件になります。ところが、冬至の日を中心にした四~五週間の間、毎日毎日、太陽が出ているわけではありません。雨の日もあれば雪の日もあり、また曇りの日もあります。このように、太陽が出ていない場合は太陽をさえぎりようがないので、日照阻害は発生しません。また、建物と建物との間にある程度の距離があれば、直接光は入ってこないにせよ、間接光が入り、先方の室内において、ある程度の明るさが確保されます。

また、日本では1970年代に入って経済成長に伴い、幅広い用途地域でマンションなどの中高層建築が建築されるようになり、日照阻害の問題が顕在化し日照権訴訟が頻発したことなどから、1976年の建築基準法改正で日影規制が導入されました。日影規制の制定により、判断基準が明確化されたことにより、裁判において不動産会社が日影問題で敗訴することはなくなりました。
日本は国土が狭く、ほとんどが平らではない山で覆われており、人間が利用できる平地はごくわずかです。人口が密集する都市部においては、ある一定のルール内(日影規制)の日影は、お互いが我慢しないと生活が成り立ちません。日影は一切認めないということになると、マンション等が建設できず、地価が高騰し生活できなくなります。国が定めた法律という共通ルールを尊重し、譲り合いながら社会活動をしていく必要があります。
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