~近隣対策・近隣対応上必要な情報を記載いたします~
マンションを建設する場合、通常、上下水道、ガスなどのライフラインの工事が必要になります。
前面道路が公道の場合は問題が発生しないのですが、全面道路が私道の場合、私道の所有者の了承を得ないと、上下水道局やガス業者が工事をしてくれない場合が多いです。
了承を得るために、書面に私道所有者の署名・捺印が必要になってきます。
通常、このような書面に捺印をすることを嫌がる人が出てきますが、実際は了承を得なくても、工事をすること自体は可能です。
・ライフラインの工事で、基本となるのは、下水道設置を規定する下水道法11条であり、この場合には、「他人の土地に排水設備を設置し、または、他人の設置した排水設備を使用することができる」と規定していますので、承諾なく設置工事をすることができます。この定めはその他人が完全な所有権を持っている場合でも、共有部分を持っている場合でも同じ扱いとなります。
・水道、ガスの場合も生活に絶対的に必要な設備であり、下水道の場合と異なって扱う理由はないです。他人の承諾なしに水道、ガスを設置することは、判例に出ている通り、民法210条ないし213条の規定及び、下水道法11条の類推適用により可能です。
東京地裁 判決日:平成4年4月28日
神戸簡裁 判決日:昭和50年9月25日
・工事車両の通行については、通行する私道が共有地であれば、民法の規定「第249条:各共有者は共有物の全部について、その持ち分に応じた使用をすることが出来る」となっているので、使用については全面的に出来ます。
・以上は原則であり、円滑な工事を進めるためには、関係者の了承を書面で取っておくのが最善です。仮に嫌がらせ行為や妨害行為を働く場合には、工事妨害禁止の仮処分を裁判所に申請し、その行為を押さえるということもできます。これは「埋設工事を妨害してはならない」という仮処分の申請になります。仮処分であれば比較的短期間で決着がつきます。
・私道の所有権がない場合でも、その私道が公衆用道路として固定資産税も非課税扱いで
あれば、交渉の余地はあります。一般人に解放されている道路であれば、通行妨害する
権利はなく、妨害行為は権利の濫用である(民法第1条第3項)ということになります。
・掘削・工事車両の通行許可を認める判例は多く出ています。
東京地裁 判決日:平成4年4月28日
神戸簡裁 判決日:昭和50年9月25日
近隣対応事例紹介
今まで実施してきた近隣対応の具体例を載せさせて頂きます。
私道の掘削・工事車両通行の許可